壮麗壮美
2008年07月13日
外泊続き、毎日心地よいベッドで寝ているとは言え、だんだん旅の疲れもたまってくる頃。
この日はパリ郊外にある、有名なヴェルサイユ宮殿へ出かけた。
パリのモンパルナス駅からRERで一時間足らず、櫛形ホーム のヴェルサイユ駅はやはり人で溢れかえっていた。
パリとウィーンやベルリンとでは、比べ物にならないくらい観光客の数が違う。きっと倍以上違うだろう。それだけ、パリは人を寄せつける何かを持っているのである。
駅から歩いて数分、宮殿の正門に着く。宝石やらおもちゃやら水を売りつけているアフリカ系の商人が目立つ。水はともかく、ここでわざわざおもちゃや宝石を売ることもないだろうと思うのだが。
正面の玄関をくぐると、もうそこはもの凄い人垣である。
みんな宮殿に入るのを待っているのだ。
最後方を見つけて並ぼうとしたら、「本気で並ぶの?」と友人に言われてしまった。
よく列を見てみると…、ところどころに「二時間」「二時間半」という札が立っている。
最後方はどう見積もっても三時間以上は待たされる。宮殿内部の見学はあきらめて、庭園をじっくり廻ることにした。
ちなみに、ここではトイレを待つ列も驚くほど長い。ヴェルサイユ宮殿はトイレの数も極端に少ないことで有名らしい。
庭園に入り、ひととおり宮殿を外側から眺めた。建築にしっかりお金をかけたことが伝わってくる。
外壁、窓の装飾が、ウィーンのシェーンブルン宮殿が貧相なものに見えてしまうくらいに、その豪華さとともに自然と目に入ってくる。庭園では常にクラシック音楽が流れていて、それもまた雰囲気作りに一役買っている。
お昼ごはんのサンドイッチを食べて、有名な庭園の池にたどり着いた。
カヌーをしているカップルや家族連れがいっぱいいる。
ほとりでアイスクリームを買って食べた後、ボクと友人は時間を忘れて木陰で昼寝をしてしまった。
失礼ながら、ヴェルサイユで一番印象に残っているのはこの昼寝の心地よさ…。
目を覚ましたあと、池を後にしてしばらく庭園を廻る。
軍人がいっぱいいるのは気のせいか。
友人の話によれば、革命記念日のためにフランスじゅうから軍人が集まってきているのだと言う。
中には軍服を着たまま家族と一緒にいるピクニックをしている軍人もいた。何もこんなところでまで。
化粧をしないと人前に出られない人がいるように、軍服を着ないと人前に出られない人なのかもしれない。
庭園内を歩いていると、あろうもことか若者の乗った自家用車が庭園内に砂埃を立てながら乱入してきた。
まもなく警備だか庭園整備の車に呼び止められていた。
その後どうなったかは分からないが、通常ありえもしない風景だけに、呆れを通り越して笑いすら起きてくる。
さて、とうとう宮殿の内部は見ることができず、ヴェルサイユを後にすることにした。
結局庭園を見て昼寝しかしていないような気がする。ヴェルサイユ宮殿に来るのはこれが最初で最後だろう…昼寝…。
RERに乗って再びパリ中心部に向かい、セーヌ川のクルーズに参加。
クルーズのツアーでは、外国語の音声アナウンスがあって、フランス語、英語、日本語、中国語、韓国語、ロシア語の順番でそれぞれ名所の案内がなされていた。
日本人はおそらくボク一人だけだったのだが・・・やはり原油高とユーロ高が影響しているのだろうか。
川から眺めるノートルダムも美しかった。
近くから見ると大きすぎてよく分からない、という建物は多いが、川からはその心配はない。建物の全貌が見えるので、「美しいまま」で記憶にとどめておくことができる。
ノートルダム以外にも、オルセー美術館、ルーヴル美術館はもちろん、シテ島の古い街並み、エッフェル塔などなど、パリを代表する建物の大半はツアーで見ることができる。
こうした建物が川から眺めるといっそう美しく映えて見える理由はきっともう一つ、車などの騒音がほとんど聞こえてこないからなのではないかと。
ノートルダムの周りから車の騒音がひっきりなしに聞こえてきたら、きっとノートルダムはこの時のまま美しくは見えなかったと思う。
クルーズツアーの後は、モンルージュに戻り、友人の家族と一緒に革命記念日の前夜祭の花火を見に行った。
面白いことに、花火は支庁舎の前庭からばんばん打ち上げられた。
そのため音が凄い。「綺麗」と感じる前にまず危なっかしく感じられる。
友人に、日本では花火はいつ打ち上げるのか聞かれた。
「夏」と答えると、「戦争終結の記念に?」と言うものだから、いや、「夏のテキトーな日」と返すと、
「花火って一発結構お金かかるはずなのにテキトーな日にやってるの?」と驚かれた。
こっちの花火は、いわゆる大みそかか大きなイベントか、こうした国民の祝日に打ち上げられる。
確かに、テキトーな日を選んで「花火大会!」というのは、こっちの人には理解できないのだろう。
日本の花火大会は花火そのものが目的なのだから。
日本のクリスマスやヴァレンタインに関しても、何かそれに近いものを感じなくもない。
Posted by migu9 at 12:00│Comments(0)
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