徒然旅路

2008年07月10日

徒然旅路


その日の夜、友人はボクの部屋で寝た。住処がないらしい。コルナヴァン駅の駅前、シングルで一泊92CHFで予約した部屋は、期待を裏切らない清潔感はあった。日本円で約9,000円、随分高く感じるかもしれないが、スイスの物価の高さにはもう慣れてしまった。シングルルームに泊まろうとするならば、これでもかなり安い部類に入るという。思えば、同じスイスのヴィンタートゥーアという街の民宿に泊まった時などは、駅から徒歩30分の距離にも関わらずシングルで一泊99CHF、随分割高な思いをしている。

翌朝、やはり自然体のまま「あっけなく」友人と別れた後はジュネーブにある二つの博物館を見学した。一つは直訳して「民族誌博物館」、もう一つは「現代美術館」である。二つの博物館についてはいづれまた別に記事を書いて紹介しようと思うが、奈何せん解説は大半がフランス語なので大方理解できないのが残念だった。今日これからフランス人の友人に会うわけだから、何か気になることは書き留めておいて損はないと思い、幾つか解説を書き写した。

徒然旅路



半日かけて二つの博物館を見学した後は、いよいよジュネーブを後にして、次の目的地、パリに向かう。パリではグラーツで知り合った友人の家にお世話になることになっている。友人は二週間前にPraktikum(インターンシップのようなもの)のために一足早くフランスに帰国している。

ジュネーブからは有名な超高速列車TGVに乗ってパリに向かう。主要時間は4時間強。コルナヴァン駅のフランス国鉄TGV専用ホームに入るには改札ならぬパスポートコントロールがあった。「地球の歩き方」など持っていないので何も知らなかったが、国際列車に乗るのだから当然と言えば当然の話である。
列に並んでパスポートを提示したが、「JAPON?ちょっと待て」と言われ、検査官は顔写真のページを開けて自分の顔をまじまじと見つめてきた。日本の偽造パスポートが出回っていることを知っているのだろうか。

さて、パスポートコントロールの列はだいぶ後方のほうだったので、写真を撮る暇もなくTGVに乗車する。車体は新幹線に比べるとどことなく「角ばって」いるが、いかにも「飛ばすぞ」という軽量感がある。ここからはもう全くドイツ語は通じない。席につくなりフランス語の会話を勉強しようと思ったが、期待に反してTGVの乗り心地はお世辞にも良いとは言えなかった。一昨日の寝台列車に負けないくらい揺れるので、まもなく酔ってしまった。パリまで約4時間。風景は延々と田園風景が続く。気がつけばやはり寝てしまっていた。

午後7時。午後7時半過ぎにはパリのリヨン駅に到着するというのに、風景は相変わらず小麦畑だか牧草地が見えるだけである。パリの都市圏人口約1,000万と聞く。本当にこんな田舎に大都市があるのだろうかと疑いたくなるが、到着15分前あたりからようやく倉庫、工場、高層アパートが車窓から見えてきた。「それでも」新幹線の新大阪―京都間のような、ところどころに緑が混在するのんびりしたものである。主要たる世界都市の一つ、パリですらこの有り様なのだ。やはり東京の都市の膨張ぶりは異常なのか。
定刻より10分近く遅れて、7時40分前、TGVはリヨン駅に到着した。駅に降りてまず上を見た。天井が高い。人の多さ、ざわめき、オーストリアやスイスの駅とは規模が違う。友人はホームの端で待ってくれていた。


早速、これから5日間お世話になる友人の家に向かう。友人の家はパリに隣接するモンルージュという街にあるため、リヨン駅からは地下鉄(メトロ)で移動した。乗り換える電車、どれもとにかく満員電車の連続、人々の足取りも早く、またオーストリアでは滅多に見なかった改札もある。久しぶりに日本に帰った心地すらする。違うのはパリには本当にいろんな「人種」の人がいることだ。

メトロの終点で友人とボクは降りた。ここから数分友人の家まで歩いたのだが、パリの郊外、やはり想像していたとおり、モンルージュはそれほど治安は良くないように見受けられた。夜の公園には鍵がかけられ、おそらくレイシストによって書かれた落書き…そして街の風景は日本の大都市とも似てていた。碁盤目であろう街並みに、至るところ高層マンションが立ち並び、街路樹も少なかった。友人は夜一人で歩くのは怖いと言う。しばらくすると高層マンションも消えて「旧市街」のような街区に入り、まもなく友人の家に着いた。
友人の両親が玄関で迎えてくれた。時計を見ればもう夜の10時前。まだ空は明るい。

たどたどしいフランス語で自己紹介してみたが、結局通じていなかったようだった。父のほうは英語が少し話せるようだった。
団欒は友人の両親と友人、ボクの4人だった。夕食は典型的なフランスの家庭料理というものを頂いた。やはりオーストリアやドイツの「狩猟民族」的なものに比べると見栄えも味もいい。
フランスのワインも勧められ、すっかりほろ酔いになってしまった。すでに数時間昼寝をしているにも関わらず夕食後はベットで熟睡。

明日は金曜日。友人はPraktikumがあるので、日中は独りで行動しなくてはならない。


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Posted by migu9 at 12:00│Comments(4)Trip
Comment
続きが楽しみ~☆
じっくり更新を待っております(笑)
Posted by なでしこ at 2008年07月23日 11:06
なでしこ。

この日記は…独白録ではない(笑。
でもちょと違ったパリエッセイにはなると思うよ!
Posted by migu9migu9 at 2008年07月23日 21:43
こんにちは☆彡

旅イイねえ。
Parisの都市圏はかなり広いからね~。
フランスの都市部は、キレイなところとそうでないところの差が激しい
(まあどこもそうかもしれないけど)と聞くね。
Posted by yoshy at 2008年07月28日 11:30
yoshyさん。

キレイなとことそうでないところの差は、ウィーンやベルリンでも激しくて、きっとヨーロッパはどこも似たようなもんだと思いますねぇ。
でも、中心部はほんとにきれいですよ、Paris!!!
Posted by migu9migu9 at 2008年07月29日 03:23
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